素人南国姉妹がエベレストB.C.に登ってみた話。費用・行き方・荷物の揃え方など大公開

こんにちは。南国姉妹のたびちこです。旅と読書が好きで知的好奇心旺盛、知らない世界に行き知らないことを知ってみたい。そんな思いから2019年4月に仕事を辞めて世界一周に行っていました。

今はコロナ禍のため、世界一周を一時中断しています。旅に行けないフラストレーションを文章にぶつけ、これまでに訪れた魅力的な場所をブログで紹介していきたいと思っています。

この記事を読んでいるあなたも、エベレストB.C.なら登れるかも

今回ご紹介する場所はエベレストです。おそらく知らない人はいないであろう、ヒマラヤ山脈にある、世界で一番高い山です。ちなみにエベレストのことを中国語ではチョモランマ、ネパール語ではサガルマータと呼んでいます。チョモランマは「大地の女神」、サガルマータは「世界の頂上」という意味だそうです。「世界の頂上」と呼ぶにふさわしい、圧倒的な光景がそこにはあります。

 エベレストの標高は8848m、頂上の酸素濃度は地上の約半分と言われています。8000mから先はデス・ゾーン、「死の領域」と呼ばれ、酸素濃度や氷点下何十度の気温は、とても人間が生存できる環境とは言えません。頂上まで続くその道には、志半ばで尽きた登山家の死体が野ざらしになっています。気温が低く、バクテリアも繁殖しないために死体は腐らず、後に続く登山家はその死体を道しるべにして登って行きます。

 そんな過酷な環境に、我々南国姉妹が行けるはずもありません。

 でも行きたい。行ってその世界の頂上を目の当たりにしたい。

そんな素人にオススメの方法は次の二つです。

 ①ヘリで行く

 カトマンズから毎日ヘリコプターでエベレストの近くまで行って帰ってくるツアーをやっています。所要時間は往復1時間程度、値段は2ー3万円程度です。一番お手軽な方法と言えます。

 ②エベレストB.C.(ベースキャンプ)に行く

 カトマンズからルクラまで飛行機で移動し、ルクラからエベレストベースキャンプまで徒歩で移動します。所要期間は2週間程度、値段は10ー20万程度です。

 私たちが選んだのは②の方法です。

本当に素人でもエベレストB.C.まで登れるのか

素人といっても、我々、そんじょそこらの素人とは訳が違います。

山もなく、雪も見たことがない、エベレストとは最もかけ離れたALOHAな環境で生まれ育った、

天然100%、生粋の素人、頭は灼熱の太陽で溶かされてぱっぱらぱー、

それが我々南国姉妹です。

これまでの登山経験は、姉は人生で1回富士山(8合目で天候が悪化して下山)に登ったことがあるぐらい。妹に至っては登山経験は完全にゼロ。

おそらくこの記事を読んでいるほとんどの人よりも、登山レベルは低いでしょう。

そんな我々でも、標高5364mのエベレストベースキャンプまで登ることができました。

エベレストベースキャンプとは

 エベレストベースキャンプとは、エベレスト登山のための基地となるキャンプ地です。エベレストは中国(チベット)とネパールにまたがっているため、チベット側とネパール側の両方のキャンプ地があります。チベット側へ行くには中国政府のパーミッションが必要とのことで、私たちが目指すのは、ネパール側(南側)の標高5,364mのベースキャンプとなります。

 エベレストベースキャンプへの行き方は、ネパールの首都、カトマンズから飛行機でルクラ(標高2860m)まで行き、そこからベースキャンプまで歩いて行きます。

 カトマンズからベースキャンプまでは、現地の知人に紹介していただいた旅行会社で日程を組んでもらいました。宿泊先からカトマンズの空港、カトマンズからルクラまでの飛行機代と、ポーターとガイドを一人ずつ雇った合計金額は2人で20万円程度でした。

ちなみに私たちが組んだ旅程では、途中の宿泊費用と食費は別料金です。別料金といっても、宿泊費用はそこまで高くなく、一泊500-600ルピー(500-600円)程度。食費は一食500ルピーから1000ルピー(500円ー1000円)程度でした。日本の感覚からするとだいぶ安いように思いますが、ネパールの物価は非常に安く、日本の1/10程度のため、ネパールの物価からするとだいぶ高く感じます。後、途中の水代や宿での携帯充電代など、こまごました料金を合わせると、ツアー料金にプラスして、1日あたり2人分で3000-4000ルピー(日本円で3000-4000円)程度かかりました。

 全部合わせて合計で、カトマンズからエベレストベースキャンプに行って返ってくるまで、2人で25万円ほどでした。

行きは高度順応しながら9日間かけて登り、帰りは5日間かけて下る、合計14日のルートで移動しました。

 装備をどこで揃える? カトマンズで揃えたほうがいいの?

 結論から言うと、カトマンズで揃えるのが断然オススメです。

 エベレストB.C.までいく装備は100%カトマンズで揃えることができます。極論を言うと、手ぶらでネパールに到着しても何の問題もありません。また、カトマンズで揃えることでいくつかメリットがあります。

 メリットその① 日本で揃えるよりも圧倒的に安く揃えることができる!

 例えば、日本のアウトドアショップで登山靴を買おうとすると、どんなに安くても30000円前後します。いいなと思った靴は50000円ほど。2人分の靴となるとそれだけで10万円を超えます。ネパールの往復の航空券代が賄える金額です。

 それがなんと、ネパールのカトマンズで似たような性能の靴を購入しても3000ルピー(3000円)ほど。

 日本での約1/10です。

 物価も日本の1/10なのを考えると妥当な金額と思います。

 靴に限らず、防寒着、寝袋、リュックサック、サングラス、手袋、ニット帽、靴下、ストック、懐中電灯、、、etcと買おうとすると、カトマンズでもそこそこの性能のものが日本の1/10の値段で買うことができます。積み重なると大した金額です。少しでも節約したいならばネパールで買うことをおすすめします。

 メリットその② 寝袋や懐中電灯を貸してくれる旅行会社がある

旅行会社にもよりますが、エベレストB.C.までのツアーを予約すると寝袋など貸してもらえたりします。

 現地でツアーを申し込み、貸してもらえるものを確認した後に買い物をしたほうが効率的です。

 メリットその③ 同じことを考える旅行者がわんさかいるため物品を購入しやすい

 地球上には標高8000m台の山が14峰あるそうです。そして14峰のうち8峰がネパールにあります。(残りの6峰はチベットとパキスタンに存在するそうです)

 人類が初めて8000m級の登頂に成功したアンナプルナ、イモトアヤコが登頂したことでも有名なマナスル、登山漫画「岳」で主人公が目指したローツェ、そして言わずと知れた世界最高峰のエベレスト……。

 国家の威信をかけての登頂を目標とした登山隊から、トレッキングを楽しむ旅行者まで、ありとあらゆる登山家がネパールに集まってきています。

 そんな登山家たちは、必ずネパールの首都、カトマンズに飛行機で到着します。

 そして、そのネパールの首都カトマンズのタメル地区と呼ばれる通りには、世界中から到着した登山家たちに装備を売る店が所狭しと並んでいます。

 店員さんも、たくさんの登山家を相手にしているため慣れており、旅行日程やどこまで登るかを話すと適切な装備を進めてくれます(売りつけようという圧が強かったり、また、値段もあってないようなものなので、値段交渉が大変ですが、うまくいけば上記の通り日本じゃありえないほどの安い値段で買うことができます)

 ← 全てネパール カトマンズ タメル地区の登山用品店で揃えました。上記の装備は、帽子600ルピー、リュック3000ルピー、防寒具(上下)5000ルピー、マフラー100ルピー、手袋1000ルピー、靴3000ルピーで合計12700ルピー(日本円で12700円ほど)です。

 メリットその④ ロストバゲージの心配がない

 日本で装備を揃えた場合、カトマンズまでその装備を持っていく必要があります。(当たり前ですが……)

 また、格安航空を利用した場合は、荷物を預ける時にお金がかかる航空会社もあるため、移動時に追加料金がかかる可能性もあります。

 日本からカトマンズへの移動は直行便がないため、どうしても乗り継ぎが必要です。下手をすると3路線を乗り継いでいく必要があるため、乗り継ぎ時にロストバゲージの恐れもでてきますが、現地で買うとその心配は少ないです。

もちろん、現地で買うことのデメリットがあります。

 1番は、行ってみて買えなかったらどうしようという不安感です。

 我々も、現地で必要な物品を揃えられなかったらどうしようと不安でしたが、上記の通り、その心配は一切ないので安心していいでしょう。

 また、靴だけは、履き慣れない靴を購入することで、靴擦れができる可能性もあるので、日本で購入してもよいでしょう(我々は靴も結局ネパールで購入しましたが……。

高山病について

 高山病は、標高2500m以上の高所に急速に移動することにより発生します。

 高所では平地に比べて低気圧、低温になります。

 平地(海抜0m)では760mmHgの気圧が、エベレストB.C.ではmmHg、エベレスト頂上では250mmHgになります。それに伴い酸素分圧も、エベレストB.C.では平地の約半分、エベレスト頂上では平地の約1/3になります。

 エベレストB.C.がある5364mでも、普段経験することのない低気圧に晒されることになります。

 また、高山病を発症するかどうかは、その人の体質に大きく依存し、また、事前に発症のしやすさを調べる方法もありません。

 一度発症してしまうと、頭痛や吐き気、倦怠感から始まり、運動失調や息切れが出現します。高山病は重症になると脳浮腫、肺水腫などを合併し、死に至る可能性もあります。

 我々の目標到達地点であるエベレストB.C.は5364mであり、高山病予防が必須です。

 以下に事前にできる高山病予防法を紹介します。

・高山病予防として

 ①低酸素室トレーニング

 日本で事前にできる準備として、低酸素室トレーニングがあります。高所の環境を擬似的に作り出し、その環境化での身体反応を確認するそうです。また、呼吸法や歩き方などのレクチャーもあるそうです。

 我々は場所が遠くいけませんでしたが、東京都渋谷区にあるミウラドルフィンズの低酸素室ではこれまで1万人の高圧トレーニングをしてきた経験があり、高所テストや富士山テストなど、高所に設定した低酸素室での心拍数や動脈血酸素飽和度の測定をしてもらえるそうです。

ミウラドルフィンズ:http://www.snowdolphins.com/index.html

②事前の登山計画

 高山病は、一気に標高を上げる時に起こりやすいと言われています。そのため、登山計画を立てる時は、一気に高度を上げずに少しずつ登るのが望ましいです。具体的には1日の高低差は300m程度が望ましいと言われています。

 また、高度順応日として、3000mで連泊する日を作る必要があります。

 そのためには日程に十分なゆとりを持つのが望ましいでしょう。

 我々はカトマンズ発着で14泊15日の旅程でした。日本発着の場合は前後にプラス2、3日の余裕が必要です。

③高山病予防薬

 高山病予防薬として広く使われている薬にアセタゾラミド(商品名:ダイアモックス®️)という利尿薬があります。

 アセタゾラミド250mgを1日2回内服しますが、予防には半量でも同等の効果があると言われており、体の小さい日本人には半量(125mgを1日2回投与)が推奨されているそうです。旅程前日から内服開始し、旅程開始から3日間投与します。ガイドラインでは、合計4日間の内服で予防薬としての投与は終了となるそうですが、急に高度を上げる時や頭痛などの高山病の前兆が出現した時にも内服を行うのが望ましいと思われます。予防薬としては多めに見積もって、14日の旅程の場合は15錠の用意があれば十分と思います。

 また、治療量は予防量の倍量になります(1日2錠)。高山病発症時に治療量を内服する可能性を考えると、14日の旅程なら予防量の倍量の30錠は用意しておくと安心と思われます。

 保険適応外で自費になります。自費診療なので、病院によって値段に差がありますが、調べた範囲では日本での処方は、10錠で2000円から7000円程度になる様です。薬剤なので、病院受診の上処方箋が必要になります。初診料も含めて30錠用意するとなると、大体の合計金額は一人頭20000円前後でしょうか。

 アセタゾラミド(商品名:ダイアモックス®️)を処方してもらえる医療機関は渡航医学学会の認定医一覧をご覧ください ↓

例え認定医でなくても、クリニックや病院で「高山病予防のため、アセタゾラミド(商品名:ダイアモックス®️)250mgを○錠ください」と言えば、医師によっては対応してもらえる可能性も大きいと思います。(高山病は普段経験しない病気であり、認定医以外では予防薬の使い方も詳しくないと思われますので、自分の旅程に合わせて必要量を医師に指定したほうがよいでしょう)

 また、日本で購入しなくても、ネパールでもアセタゾラミド(商品名:ダイアモックス®️)を購入することができます(ここから先は自己責任でお願いします)

 私もネパールのカトマンズでアセタゾラミド(商品名:ダイアモックス®️)を購入しました。ネパールでは処方箋は必要なく、薬局で購入することができます。病院が立ち並ぶ地区があり、病院周囲にある薬局で購入することができます。だいたい30錠で300ルピー(300円)程度でした。

 利尿薬なので、頻尿の副作用があります。また、脱水になるのを防ぐために、十分量の水分摂取が必要です。

④高山病治療薬

 上記に書いたアセタゾラミド(商品名:ダイアモックス®️)も、倍量で内服すると高山病治療薬としての効果があると言われています。

 また、デキサメタゾンという副腎皮質ホルモン剤も、山酔いと高地脳浮腫の予防と治療に効果があると言われています。症状出現時には4mgを6時間ごとに内服します。高山病の症状が出現した時に内服できる様にあると安心です。

 また、ニフェジピンという降圧薬も、高地肺水腫の予防と改善に効果があると言われています。投与方法は8時間ごとに10mgです。

 他に対処療法として、頭痛に対してアセトアミノフェンなどの痛み止めや、嘔気・嘔吐に対してメトクロプラミド(プリンペラン)等の吐き気止めがあるといいでしょう。

 また、上記の薬剤は全てカトマンズで同じ成分の薬剤(インド製です)を格安で購入できます。

 以下に英語での一般名とネパールでの商品名を記載していますので、この画面をカトマンズの薬局で見せれば購入できると思います。薬に関しては副作用やアレルギー反応などもあるので、購入や使用に関しては自己責任でお願いします。特に持病をお持ちの方は必ずかかりつけの医師に登山計画について事前に相談されることをお勧めします。

  • Acetazolamide(Diamox) 125mg or 250mg 30 tablet 
  • Dexamethasone(Decadron)4mg 20 tablet
  • Nifedipine(Adalat)30mg 10 tablet
  • Acetaminophen(Paracetamol) 500mg 20 tablet
  • Metoclopramide(Perinorm)10mg 20 tablet

     ※※※

  • アセタゾラミド(ダイアモックス)高山病予防・治療薬 125mgもしくは250mg 30錠
  • デキサメタゾン(デカドロン)高山病治療薬 4mg 20錠
  • ニフェジピン(アダラート)高山病(肺水腫)治療薬 30mg 10錠
  • アセトアミノフェン(パラセタモール)頭痛薬 500mg 20錠
  • メトクロプラミド(パリノーム)制吐薬 10mg 20錠